📋 この記事でわかること
不倫(不貞行為)の慰謝料を請求されたとき、最初にやるべきは「無視しない」「すぐに払わない」の2点です。請求額には幅があり、提示された金額がそのまま妥当とは限りません。この記事では、請求が届いた直後の初動、金額の妥当性の見方、減額が認められやすい代表的なケース、分割や支払いが難しい場合の対応、そしてやってはいけない行動までを一般的な目安として整理します。最終的な判断は必ず弁護士など専門家に相談することを前提にお読みください。
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ある日突然、内容証明郵便が届いて高額な慰謝料を請求された——。不倫(法律上は「不貞行為」と呼ばれます)をめぐるトラブルでは、請求された側が強い動揺の中で誤った対応をしてしまうことが少なくありません。慌てて全額を払ってしまったり、逆に怖くて放置してしまったりと、どちらも後悔につながりやすい行動です。
ここでは、請求された側(被請求者)の視点に立って、冷静に状況を整理し、適切な選択肢を検討するための考え方をまとめます。あくまで一般的な解説であり、個別の事情によって結論は大きく変わります。重要な判断の前には弁護士など専門家への相談を強くおすすめします。
慰謝料を請求されたら最初にすること
請求が届いた直後の初動が、その後の交渉を大きく左右します。感情的になったり、相手のペースに飲み込まれたりせず、まずは次の2つの原則を意識してください。
無視しない
「相手にしなければ忘れてくれるのでは」という考えは危険です。請求を放置すると、相手が訴訟(裁判)を起こす可能性が高まります。裁判で欠席を続けると、相手の主張がそのまま認められてしまうおそれもあります。受け取った書面は捨てずに保管し、期限が書かれている場合はその日付を必ず確認しましょう。
すぐに払わない・即答しない
提示された金額が法的に妥当とは限りません。相手は交渉の出発点として高めの金額を提示してくることもあります。その場で「払います」「謝罪します」と認めてしまうと、不貞の事実や金額を承諾したと受け取られ、後の交渉で不利になるおそれがあります。電話口での口約束も避け、まずは「持ち帰って検討する」という姿勢を保つのが一般的に安全とされています。
| やるべきこと | 避けたいこと |
|---|---|
| 書面を保管し期限を確認する | 書面を無視・放置する |
| 事実関係を冷静に整理する | その場で支払いを約束する |
| 早めに専門家へ相談する | 相手に感情的な連絡をする |
請求された金額は妥当か?相場の考え方
不貞行為の慰謝料には法律で定まった「定価」はありません。事案ごとに事情を総合的に考慮して決まるため、提示された金額が高すぎるケースもあります。
金額を左右する主な要素
一般的には、次のような事情が金額の増減に影響するとされています。
- 不貞関係の期間や回数
- 婚姻関係が破綻したか(離婚に至ったか、別居したか)
- 夫婦に未成年の子どもがいるか
- 不貞行為の主導性(どちらが積極的だったか)
- 反省や謝罪の有無、誠実な対応をしたか
離婚に至った場合のほうが、関係を継続する場合より金額が高くなる傾向があるとされています。ただしこれらはあくまで目安であり、個別事情で大きく変動します。詳しい考え方は慰謝料に関するカテゴリもあわせて参考にしてください。
提示額をうのみにしない
相手が裁判で実際に認められる見込みより高い金額を提示してくることは珍しくありません。書面に記載された金額が「絶対に払わなければならない確定額」ではない、という前提を持つことが大切です。妥当性の判断には法律的な知識が必要なため、自己判断せず専門家に見てもらうのが安全です。
減額が認められやすい代表的なケース
請求された側の事情によっては、慰謝料が減額されたり、そもそも支払義務が否定されたりすることがあります。以下は一般的に主張されることの多い代表例です。
すでに夫婦関係が破綻していた
不貞行為があった時点で、夫婦関係がすでに破綻していた(実質的に夫婦としての関係が失われていた)と認められる場合、慰謝料が減額または否定されることがあるとされています。長期の別居や離婚協議の進行などが判断材料になることがありますが、立証は容易ではなく、証拠の有無が重要になります。
相手が既婚者だと知らなかった
交際相手が結婚していることを知らず、かつ知らなかったことに過失がなかったと認められる場合、慰謝料の支払義務が否定される可能性があります。ただし「独身だと聞いていた」という主張だけでは足りず、状況から既婚を疑うべきだったとされれば過失ありと判断されることもあります。
ダブル不倫(W不倫)での求償の調整
双方が既婚者である、いわゆるダブル不倫のケースでは、配偶者同士の関係も絡み合うため、求償権(あとで相手方に一部を請求する権利)の問題が生じることがあります。一方だけが多く負担する形にならないよう調整が図られることもあり、構造が複雑になりがちです。求償の用語については用語集もご確認ください。
消滅時効が成立している
慰謝料の請求権には時効があり、一般的には被害者が損害と加害者を知ったときから一定期間が経過すると、請求できなくなるとされています。古い出来事に基づく請求の場合、時効が論点になることがあります。時効の援用には適切な手続きが必要なため、安易に自己判断せず専門家に確認してください。
| 主張 | ポイント |
|---|---|
| 関係はすでに破綻していた | 別居期間など客観的な裏付けが鍵 |
| 既婚と知らなかった | 知らなかったことに過失がないか |
| 時効が成立している | 起算点と援用手続きの確認が必要 |
証拠との向き合い方
相手が不貞行為を主張する際には、何らかの証拠を持っていることがあります。一方で、証拠が十分でない、あるいは推測の域を出ない請求というケースもあります。
請求された側として大切なのは、相手がどの程度の証拠を持っているのかを軽率に確認させてしまわないことです。慌てて事実を認める発言をすると、それ自体が相手にとって有利な材料になりかねません。証拠の評価や、どの事実までが立証されているのかの見極めは専門的な判断を要します。証拠の種類や扱いについては証拠に関するカテゴリが参考になります。
なお、自分側の身を守るために、相手とのやり取りの記録(メッセージや書面)は冷静に保管しておくとよいとされています。ただし、無断で相手を録音・撮影する行為などはトラブルや別の問題を招くおそれがあるため、進め方は専門家に相談しながら判断してください。
分割払い・支払えない場合の対応
「金額は受け入れるが、一括では払えない」というケースも多くあります。支払いが難しいからといって放置するのは得策ではありません。
分割払いの交渉
相手との合意があれば、分割払いとすることも可能とされています。その際は、支払総額・回数・毎月の金額・支払日などを明確にし、合意内容を書面(示談書・合意書など)に残すことが重要です。口約束だけだと後で食い違いが生じやすくなります。書面の作成方法も含め、専門家のサポートを受けると安心です。
どうしても支払えないとき
収入や資産の状況によっては、無理のない支払計画への組み直しを相手と交渉する余地があります。それでも見通しが立たない場合には、生活再建のための法的な手続きが選択肢になることもありますが、これは慎重な検討を要する重大な判断です。安易に決めず、必ず弁護士など専門家に相談してください。
- 支払える金額と期間を現実的に見積もる
- 相手に分割や減額の交渉を申し入れる
- 合意できたら必ず書面に残す
- 見通しが立たない場合は早めに専門家へ
弁護士に相談するメリット
請求された側が自分一人で交渉すると、感情的な対立に陥りやすく、不利な合意をしてしまうおそれがあります。専門家を介すことで、次のような利点が期待できるとされています。
- 提示された金額が妥当かを客観的に判断してもらえる
- 減額や支払義務否定の主張ができるかを検討できる
- 相手との直接のやり取りを代理してもらい精神的負担が減る
- 示談書など合意内容を適切な形で残せる
費用が心配な場合でも、初回相談を受け付けている事務所もあります。まずは状況を整理して相談することから始めるとよいでしょう。相談の窓口から問い合わせる方法もあります。
やってはいけない対応
最後に、請求された側が陥りやすい「避けたい行動」をまとめます。
- 無視・放置する:訴訟に発展し、かえって不利になるおそれがあります。
- その場で全額を即払いする:妥当性を確認しないまま支払うと、払いすぎになる可能性があります。
- 安易に事実を認める発言をする:交渉や立証で不利な材料になりかねません。
- 相手や配偶者へ感情的に連絡する:関係を悪化させ、解決を遠ざけます。
- 証拠を勝手に処分する:自分に不利な印象を与えるおそれがあります。
冷静に、そして一人で抱え込まずに対応することが、結果として最善の解決につながりやすいといえます。夫婦問題全般の基礎知識は基礎知識カテゴリもご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 慰謝料の請求を無視し続けたらどうなりますか?
A. 一般的には、相手が訴訟を起こす可能性が高まります。裁判で対応しないと相手の主張がそのまま認められてしまうおそれもあるため、放置はおすすめできません。書面を保管し、早めに専門家へ相談するのが安全とされています。
Q. 提示された金額は必ず払わなければなりませんか?
A. いいえ、提示額がそのまま確定額とは限りません。相手が交渉の出発点として高めの金額を提示することもあります。妥当性の判断には法的知識が必要なため、自己判断せず専門家に確認することがすすめられます。
Q. 相手が既婚者だと知らなかった場合も払う必要がありますか?
A. 既婚であることを知らず、知らなかったことに過失がないと認められる場合は、支払義務が否定される可能性があるとされています。ただし状況から疑うべきだったと判断されることもあり、個別の検討が必要です。
Q. 一括では払えません。分割は可能ですか?
A. 相手との合意があれば分割払いとすることも可能とされています。支払総額・回数・支払日などを明確にし、合意内容を書面に残すことが重要です。書面作成は専門家のサポートを受けると安心です。
Q. 自分で交渉してもよいですか?
A. 自分で交渉することも可能ですが、感情的な対立に陥りやすく、不利な合意をしてしまうおそれがあります。弁護士など専門家を介すことで、妥当性の判断や代理交渉などのメリットが期待できるとされています。
Q. 古い出来事についての請求でも応じる必要がありますか?
A. 慰謝料の請求権には時効があり、一定期間が経過すると請求できなくなるとされています。古い出来事の場合は時効が論点になることがありますが、時効の援用には適切な手続きが必要なため、専門家に確認することをおすすめします。
✏️ 近藤 直人 より
突然の高額請求は、誰にとっても大きな精神的負担です。けれども、慌てて払ってしまったり、怖くて放置してしまったりする初動こそが、後悔につながりやすいと感じています。まずは深呼吸して、書面を保管し、事実を冷静に整理するところから始めてください。提示された金額がそのまま正しいとは限りません。一人で抱え込まず、早めに専門家へ相談することが、結果的にいちばん負担の軽い解決への近道になることが多いものです。この記事が、落ち着いて次の一歩を選ぶための助けになればうれしく思います。
