求償権とは?慰謝料を払った側が相手に費用を請求できる権利を解説

📌 ひとことで言うと

求償権とは、不貞行為(浮気・不倫)のような共同不法行為で慰謝料を全額支払った側が、もう一方の加害者に対して負担分の支払いを求められる権利です。たとえば配偶者が全額払った後、不倫相手に一部を請求する場面などで登場します。

不貞行為が発覚したとき、被害者は不貞をした配偶者と不倫相手の双方に慰謝料を請求できるのが原則です。しかし実際の裁判では、どちらか一方が先に慰謝料全額を支払うケースも少なくありません。そのような場合に「自分の負担分を超えて払いすぎた」と感じた側が相手に請求できるのが求償権です。慰謝料をめぐるトラブルが複雑化しやすい今日、求償権の基本的な仕組みを理解しておくことは非常に重要です。

目次

求償権の法的根拠と基本的な仕組み

求償権は民法第442条などを根拠とする権利で、共同不法行為の文脈では民法第719条と合わせて論じられることが多いとされています。不貞行為は原則として「配偶者(浮気した側)」と「不倫相手」による共同不法行為と扱われます。被害者はこの二者に対して連帯して慰謝料を請求できますが、連帯債務の性質上、どちらか一方が全額を支払っても法律上は問題ありません。

問題は、一方が全額を支払った後です。たとえば被害者の配偶者(不貞をした夫)が妻に慰謝料300万円を全額支払ったとします。しかし不倫相手にも責任の一端があるため、「不倫相手が本来負担すべき分」を夫から不倫相手へ請求できると考えられています。これが求償権の典型的な使われ方です。

求償権が問題になる具体的な場面

求償権が実際に争われやすい場面を整理すると、次のような状況が挙げられます。

場面 求償権を行使する側 請求先
配偶者が慰謝料全額を支払った後 慰謝料を支払った配偶者 不倫相手
不倫相手が慰謝料全額を支払った後 慰謝料を支払った不倫相手 不貞をした配偶者
離婚調停・裁判で一括支払いが命じられた場合 実際に支払った側 もう一方の加害者

特に離婚後に配偶者と不倫相手の関係が続いているケースでは、不倫相手が「自分が慰謝料を払ったのに配偶者には何の負担もない」と不満を持ち、求償権を行使しようとする場面も見られます。ただし求償権の行使は当事者間の交渉や訴訟に発展することもあるため、最終的な判断は弁護士へ相談することをお勧めします。

求償権と「求償しない合意」の重要性

不倫の慰謝料交渉では、被害者が不倫相手と示談を結ぶ際に「求償権を行使しない」という条項を盛り込むことがあります。これは被害者の立場からすると重要な取り決めです。

たとえば被害者(妻)が不倫相手から慰謝料200万円を受け取る代わりに「不倫相手は配偶者(夫)に対して求償権を行使しない」と約束させるケースがあります。この合意がなければ、不倫相手が夫に求償を行い、夫が再び経済的ダメージを受けるという二次被害が生じる可能性があります。

示談書を作成するときは、この求償権に関する条項を明記しているかどうかを必ず確認することが大切です。慰謝料の相場や交渉の進め方については、専門の弁護士または探偵事務所へ相談する前に基礎知識として押さえておくとよいでしょう。

求償権行使のために必要な証拠と注意点

求償権を実際に行使するためには、不貞行為の存在や自分が支払った慰謝料の金額・内容を証明できる書類が必要とされています。具体的には次のような資料が有効とされています。

  • 慰謝料の支払いを示す領収書や振込明細
  • 示談書・和解書など、合意内容を記した書面
  • 裁判での判決書または調停調書
  • 不貞行為があったことを示す証拠(写真・メッセージ記録など)

有効な証拠の集め方については別記事で詳しく解説しています。証拠は合法的な手段で収集することが鉄則です。無断でのGPS設置や盗聴、住居への無断立入などは違法行為にあたるため、絶対に行ってはなりません。浮気調査の基本を理解したうえで、探偵・調査事務所の選び方も参考にしながら適切な方法で証拠を確保することが重要です。

また、求償権には時効があることにも注意が必要です。一般的に不法行為に基づく損害賠償請求権の時効は損害および加害者を知った時から3年、または不法行為の時から20年とされていますが、求償権の時効起算点については個別の事情によって異なる場合があるため、速やかに専門家へ確認することをお勧めします。

よくある質問(FAQ)

Q. 不倫相手が求償権を行使してきたら、配偶者は応じなければなりませんか?

A. 不倫相手が求償権を主張してきた場合、法的に一定の根拠がある可能性はあります。ただし、求償額の妥当性や示談書の内容によっては応じる必要がないケースもあるとされています。まずは弁護士に相談し、示談書に「求償権を行使しない」旨の条項があるかどうかを確認することをお勧めします。

Q. 配偶者が慰謝料を全額支払った後、不倫相手に求償できる金額の目安はありますか?

A. 求償できる金額は、不倫相手の責任割合によって異なります。一般的には、当事者双方の関係性や不貞行為への関与度などを踏まえて判断されるとされています。明確な基準は法律上定められていないため、具体的な金額については弁護士への相談をお勧めします。

Q. 示談書を作成するとき、求償権に関してどのような条項を入れておくべきですか?

A. 被害者の立場であれば、「甲(不倫相手)は本合意に基づく支払い後、乙(配偶者)に対して求償権その他一切の請求を行わないものとする」などの文言を明記しておくことが一般的とされています。示談書の作成は専門の弁護士に依頼することで、将来のトラブルを防ぎやすくなります。

✏️ 佐倉 理恵 より

求償権は慰謝料の話し合いが終わった後にもトラブルの火種になりやすい権利です。特に不倫相手から配偶者へ求償が飛んでくるケースは、被害者にとっても予期せぬ二次被害になりかねません。示談書を交わす前に必ず弁護士に確認し、求償権の放棄条項を入れておくことを強くお勧めします。

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この記事を書いた人

女性向けライフスタイル誌とWebメディアで10年以上、恋愛・夫婦・離婚ジャンルの編集に携わる。自らもパートナーの不貞に悩み、調べ方も相談先もわからず孤立した経験から「浮気調査ナビ」の編集長に。一次情報の検証と読者の心理的安全を最優先し、不安を煽る表現や断定的な決めつけを排除する編集方針を統括する。探偵社・弁護士の取材手配、無料診断プログラムの監修体制づくり、記事のファクトチェックを担当。読者が冷静に次の一歩を選べる情報設計を信条とする。

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