ダブル不倫の慰謝料はどうなる?相殺と複雑な請求関係

📋 この記事でわかること

既婚者同士の不貞「ダブル不倫」では、当事者と双方の配偶者を含む四者間で慰謝料を請求し合う複雑な関係が生じます。相殺で実質ゼロになるケース、求償権、金額が増減する要因、必要な証拠までを整理し、最終判断は弁護士に相談すべき理由まで解説します。

📖 この記事は約9分で読めます。

「ダブル不倫」とは、不貞関係にある男女が双方とも既婚者であるケースを指します。一方だけが既婚者の不倫と違い、被害者となり得る配偶者が二人いるため、慰謝料の請求が四者間で複雑に交差し、相手から逆に請求されるリスクも抱えます。「請求したいけれど、自分の配偶者が相手に請求されたら結局おあいこなのでは」という不安は、ダブル不倫特有のものといえます。

この記事では、ダブル不倫で慰謝料がどう扱われるのか、相殺の考え方や求償権、金額が増減する要因を整理します。なお、具体的な金額や法的な見通しはケースごとに大きく異なるため、本記事は一般的な考え方の整理にとどめ、最終的な判断は弁護士に相談することを前提としてお読みください。慰謝料の基礎は慰謝料カテゴリ慰謝料相場の記事もあわせてご確認ください。

目次

ダブル不倫とは何が違うのか

不倫・不貞行為に対する慰謝料は、本来「不貞をした配偶者」と「不貞相手」が連帯して、被害を受けた配偶者に支払う性質のものとされています。片方だけが既婚者の不倫であれば、被害者は一人、加害者側は二人という構図です。ところがダブル不倫では、関係を持った男女がともに既婚者であるため、被害を受け得る配偶者が二人存在します。

この結果、誰が誰に請求できるのかという関係が一気に複雑になります。立場が「被害者」であると同時に「加害者の配偶者」でもあり得るため、感情的にも実務的にも整理が難しくなりがちです。まずは登場人物を区別して考えることが、混乱を避ける第一歩とされています。

四者間で生じる請求の関係

ダブル不倫を仮にAさん(既婚)とBさん(既婚)の関係とし、Aさんの配偶者をA配偶者、Bさんの配偶者をB配偶者とすると、慰謝料を請求し得る関係は次のように整理できます。

請求する側 請求される側 考え方
A配偶者 Bさん(不貞相手) 自分の配偶者と関係を持った相手への請求
B配偶者 Aさん(不貞相手) 同じく自分の配偶者の不貞相手への請求
A配偶者 Aさん(自分の配偶者) 離婚に伴う慰謝料として問題になることがある
B配偶者 Bさん(自分の配偶者) 同上

このように、A配偶者とB配偶者という二人の被害者が、それぞれ相手側に請求できる構図になります。両家庭が同時に揉めることになるため、片方だけが一方的に得をするとは限らないのがダブル不倫の特徴です。

相殺と実質ゼロになるケース

ダブル不倫でよく語られるのが「相殺」です。A配偶者がBさんに請求し、B配偶者がAさんに請求すると、両家庭の被害がおおむね同程度であれば、結果的に支払う額と受け取る額が近くなり、実質的に大きな金銭の移動が生じないことがあります。これを指して「相殺で実質ゼロ」と表現されることがあります。

ただし、ここでいう「相殺」は厳密な法律上の相殺とは別の、結果としての差し引きを指す通称であることが多い点に注意が必要です。法律上の相殺は、当事者間で互いに同種の債権を持つ場合に成立し得るものとされており、ダブル不倫では「誰の誰に対する債権か」を正確に整理しないと、単純に差し引けるとは限りません。

「おあいこ」にならない場合もある

実務では、両家庭の状況が均等とは限らないため、必ずしも釣り合うわけではありません。次のような事情があると、一方の請求額が大きくなり、差し引いてもなお支払いが残ることがあります。

  • 一方の不貞によってのみ離婚や別居に至り、他方の家庭は継続している場合
  • 主導した側と受け身だった側で、関与の度合いに差があると評価される場合
  • 一方にだけ妊娠・中絶などの重大な結果が生じている場合
  • 片方の配偶者が請求を望まず、もう片方だけが請求する場合

「どうせ相殺になるから」と安易に考えて請求を見送ると、相手だけが請求してきて自分側が支払い超過になる、という事態もあり得ます。安易な自己判断は避け、双方の事情を踏まえて見通しを立てることが大切とされています。

求償権という複雑な論点

ダブル不倫を一段と複雑にするのが「求償権」です。慰謝料は不貞をした配偶者と不貞相手が連帯して負う性質があるため、被害者が一方からまとめて受け取った場合、支払った側がもう一方に対して「あなたの負担分を払ってほしい」と求めることがあります。これが求償権と呼ばれるものです。

たとえばBさんがA配偶者に慰謝料を全額支払った場合、Bさんは「本来はAさんも責任を負うべきだ」として、Aさんに対して負担分の求償を求める可能性があります。ところがAさんはB配偶者から見れば不貞相手であり、別途請求を受ける立場でもあります。請求と求償が入り乱れ、当事者本人だけで整理するのは容易ではありません。

用語 意味
連帯責任 不貞をした配偶者と不貞相手が一緒に責任を負うという考え方
求償権 一方が支払いすぎた分を、もう一方の負担分として請求できる権利
求償権放棄 示談などで「お互い求償しない」と取り決めること

近年の示談では、後から求償が蒸し返されないように「求償権を放棄する」という条項を入れて解決を図ることもあります。こうした条項の要否や書き方は専門的な判断を要するため、関係の再構築を選ぶ場合も含め、弁護士に確認することが望ましいとされています。用語の意味は用語辞典でも確認できます。

慰謝料の金額を左右する要因

ダブル不倫に限らず、不貞による慰謝料の金額は事案ごとの事情によって大きく変わるとされています。相殺や求償の前提として、まず「いくらが妥当か」の見当をつける必要があります。一般的に金額の増減に影響するとされる主な要因は次のとおりです。

  1. 不貞関係が続いた期間や回数の多さ
  2. その不貞によって離婚・別居に至ったかどうか
  3. 婚姻期間の長さや、未成年の子どもの有無
  4. 不貞が始まった当時、相手が既婚者だと知っていたか
  5. 反省の態度や、関係を清算する意思の有無
  6. 妊娠・中絶などの重大な結果が伴ったか

ダブル不倫では、これらの要因を双方の家庭それぞれについて評価することになるため、片方の家庭は離婚、もう片方は継続という具合に結果が分かれることも珍しくありません。その差が、最終的な金額の差や相殺後の残額に反映されていきます。

金額はあくまで目安にとどまる

インターネット上では「不倫の慰謝料は数十万円から数百万円程度」といった相場感が紹介されることがありますが、これはあくまで過去の傾向から語られる一般的な目安にすぎません。実際の金額は個別事情で大きく上下するため、特定の数字を保証するような説明には注意が必要です。具体的な見通しは費用相場の解説も参考にしつつ、最終的には専門家の判断を仰ぐべきとされています。

請求や交渉に向けて必要な証拠

慰謝料を請求する場合も、逆に請求されて反論する場合も、土台になるのは不貞の事実を裏づける客観的な証拠です。当事者の言い分だけでは水掛け論になりやすく、ダブル不倫のように利害が交錯する場面ではなおさら、証拠の有無が交渉の行方を左右するとされています。

有効とされやすい証拠には、宿泊や密会の状況が分かる写真・動画、継続的な関係をうかがわせるやり取りの記録などがあります。一方で、収集の方法を誤ると、証拠としての価値が下がるばかりか、自分が法的責任を問われかねない点には十分な注意が必要です。詳しくは有効な証拠の記事証拠カテゴリをご覧ください。

違法な手段で集めた証拠は推奨されない

本サイトは、配偶者や不貞相手のスマートフォンを無断で操作してSNSやメッセージを閲覧する行為、無断でGPS機器を取り付けて行動を追跡する行為、盗聴や住居への無断侵入、アカウントへの不正アクセスといった手段を一切推奨しません。これらは関係者のプライバシーや法律上の問題に直結し、得られた情報がかえって自分の立場を不利にする恐れがあります。

客観的な証拠を適法に集めたい場合は、探偵業法に基づく届出を行った調査業者へ依頼するという選択肢があります。依頼を検討する際は、探偵の選び方おすすめ探偵ランキング、対応範囲をまとめた調査の進め方のページを確認し、料金体系や実績を比較したうえで判断することをおすすめします。

専門家に相談すべき理由

ダブル不倫の慰謝料は、相殺・求償・四者間の請求が絡み合うため、当事者だけで「結局おあいこだろう」と判断すると、思わぬ支払い超過や後からの蒸し返しを招くことがあります。請求するか、されたときにどう守るか、示談で何を取り決めるかは、それぞれの家庭の事情に応じた個別判断が欠かせません。

感情が高ぶった状態でのやり取りはトラブルを大きくしがちです。まずは事実関係と証拠を整理し、自分の状況がどの程度の請求につながり得るのかを把握したうえで、弁護士などの専門家に相談するのが現実的とされています。自分のケースの状況を整理する手がかりとして、浮気度チェック診断から始めてみるのも一つの方法です。

よくある質問(FAQ)

Q. ダブル不倫だと慰謝料は必ず相殺されて支払いはなくなりますか?

A. 必ずしもそうとは限りません。両家庭の被害がおおむね同程度であれば差し引きでゼロに近づくこともありますが、一方だけが離婚に至るなど事情に差があると、差し引いても支払いが残ることがあります。一般的な傾向にすぎないため、安易に「おあいこ」と考えず、個別の事情をもとに弁護士へ確認することが望ましいとされています。

Q. 求償権とは何ですか?

A. 慰謝料を一方がまとめて支払った場合に、もう一方の負担分を後から請求できる権利のことです。ダブル不倫では請求と求償が入り乱れやすく、後から蒸し返されないよう示談で求償権の取り扱いを取り決めることもあります。条項の要否は専門的な判断を要するため、弁護士に相談するのが安心とされています。

Q. 自分の配偶者がダブル不倫の被害者でもあり加害者でもある場合、どう考えればよいですか?

A. ダブル不倫では、ある人物が「自分の配偶者を奪われた被害者」であると同時に「相手側から見た不貞相手の配偶者」になり得ます。立場が交錯するため、誰が誰に何を請求できるのかを一つずつ整理する必要があります。当事者だけでの整理は難しいことが多く、専門家の助けを借りるのが現実的です。

Q. 慰謝料の金額はどのくらいになりますか?

A. 金額は不貞の期間や回数、離婚に至ったか、子どもの有無などの事情で大きく変わるため、一律の正解はありません。ネット上の相場感はあくまで過去の傾向から語られる目安です。具体的な見通しは個別事情をもとに専門家へ相談することをおすすめします。

Q. 相手のスマホを無断で見て証拠を集めても大丈夫ですか?

A. 無断でのスマートフォン閲覧やSNS確認、GPSの無断設置、盗聴などは、プライバシーや法律上の問題につながる恐れがあり、本サイトでは推奨していません。得た情報がかえって自分を不利にすることもあります。客観的な証拠が必要な場合は、探偵業法の届出をした業者への依頼を検討してください。

Q. まず何から始めればよいですか?

A. 感情的にやり取りを始める前に、事実関係と手元の証拠を落ち着いて整理することが先決です。自分の状況を把握する手がかりとして浮気度チェック診断を活用し、必要に応じて適法な調査や弁護士への相談へ進むのが、ダブル不倫の複雑な請求関係で損をしないための現実的な進め方とされています。

✏️ 近藤 直人 より

ダブル不倫のご相談で多いのが「どうせ相殺だから動かない方がいい」という思い込みです。確かに釣り合うケースもありますが、両家庭の事情が同じであることはまれで、何もしなかった結果、相手だけが請求してきて支払い超過になる例も見てきました。大切なのは、感情で動く前に事実と証拠を整理し、自分のケースがどの程度の請求につながり得るかを冷静に見極めることです。求償権など専門的な論点も絡むので、自己判断で結論を出さず、早めに弁護士へ相談してください。まずはご自身の状況整理から、一歩ずつ進めていきましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

調査・統計データのリサーチと検証を専門とする編集スタッフ。「浮気調査ナビ」では、慰謝料や調査費用の相場、離婚に関する公的統計、各探偵社が公表する料金プランなどを横断的に収集し、出典の確かさと最新性をチェックする。数字の独り歩きや古いデータの引用を防ぎ、記事内で示す相場やランキングの根拠を明確にする役割を担う。編集長・監修者と連携し、誇大な比較や根拠のない断定を排除しながら、読者が判断材料として使える信頼性の高いデータを整える。無料診断プログラムの設問設計にも協力する。

目次