📌 ひとことで言うと
陳述書とは、当事者や関係者が事実関係や経緯を自分の言葉でまとめた書面です。調停や裁判で、これまでの出来事や心情を筋道立てて伝える役割を担い、写真などの証拠を補い、経緯を理解してもらうために活用されます。
離婚の調停や裁判では、写真や動画といった証拠だけでなく、「これまで何があったのか」を当事者自身の言葉で伝える場面が必ず出てきます。そのときに用いられるのが陳述書です。証拠が「事実の断片」だとすれば、陳述書はそれらをつなぎ、経緯や背景、そして自分の思いを筋道立てて語る役割を担います。このページでは、陳述書とはどのような書面なのか、調停や裁判でどんな役割を果たすのか、そして作成する際に気をつけたい点を、わかりやすく解説します。
陳述書とは何か
陳述書とは、当事者や関係者が、自らが体験・認識した事実関係や経緯を、文章としてまとめた書面のことです。裁判所などに提出され、口頭では伝えきれない詳しい経緯や心情を、整理された形で示すために用いられます。
浮気(不貞行為)をめぐる離婚のケースでは、たとえば「いつ頃から相手の様子が変わったのか」「どのような経緯で不貞に気づいたのか」「発覚後、どのような話し合いがあったのか」といった一連の流れを、時系列に沿って記していきます。写真や調査報告書などの客観的な証拠が「点」の事実を示すのに対し、陳述書はそれらを「線」としてつなぎ、全体像を理解してもらうための文章といえます。
陳述書は、当事者本人が作成するもののほか、事情を知る関係者が作成する場合もあります。いずれも、あくまで書いた人が実際に体験・認識した事実に基づくことが前提です。
調停や裁判で陳述書が果たす役割
陳述書は、調停や裁判のさまざまな場面で活用されます。その主な役割を整理してみましょう。
- 経緯を筋道立てて伝える――出来事の順序や背景を、時系列でわかりやすく示す
- 証拠を補い、つなぐ――写真や記録だけでは伝わらない前後の状況を言葉で補う
- 心情や生活への影響を伝える――不貞によって受けた精神的な苦痛や生活の変化を示す
- 主張の全体像を示す――何を求めているのか、その理由は何かを整理して伝える
特に、慰謝料の金額や離婚の可否が争われる場面では、客観的な証拠と、当事者の言葉による陳述書とが、互いを補い合う関係になります。証拠が示す事実に、経緯や心情という文脈が加わることで、状況の理解が深まりやすくなるとされています。慰謝料の相場や請求の見通しについては、個別の事情によって大きく変わるため、専門家の判断を仰ぐことが大切です。
陳述書を作成する際の注意点
陳述書は、書き方しだいで説得力が大きく変わる書面です。以下の点を意識すると、伝わりやすく、信頼されやすい内容になります。
事実と意見を区別して書く
陳述書の土台は、あくまで「実際にあった事実」です。「〇月頃、帰宅時間が遅くなった」「〇月〇日に、このようなやり取りがあった」といった具体的な事実を中心に据え、自分の感想や推測は、それと分かる形で書くことが望ましいとされています。事実と意見が入り混じっていると、内容全体の信頼性が揺らぎかねません。
時系列に沿って具体的に書く
出来事は、起きた順に沿って整理すると、読み手が経緯を追いやすくなります。日付や場所、具体的なやり取りなど、覚えている範囲で具体的に記すことで、内容に説得力が生まれます。反対に、あいまいな表現や誇張した書き方は、かえって信頼を損ねる恐れがあります。
感情的になりすぎない
不貞をめぐる経緯を書くとき、強い感情がこみ上げてくるのは自然なことです。ただ、相手を一方的に非難する言葉が並ぶと、冷静さを欠いた印象を与えてしまうことがあります。つらい経験を、できるだけ落ち着いた筆致で、事実に即して綴ることが、結果的に思いを届けやすくします。
専門家の助言を受ける
陳述書は、法的な手続きの中で用いられる書面です。どのような点を、どの程度詳しく書くべきかは、争点や状況によって変わります。作成にあたっては、弁護士などの専門家の助言を受けながら進めることをおすすめします。証拠との関係を踏まえ、何をどう記すのが効果的かについて、専門家の視点が役立ちます。なお、示談交渉の代理など、弁護士でない者が報酬を得て法律事務を扱うことはできないため、法的な対応は必ず有資格の専門家に相談してください。
証拠と陳述書は「両輪」で考える
陳述書は、それ単体で不貞行為を証明するものではありません。あくまで、客観的な証拠と組み合わせてこそ力を発揮する書面です。写真・動画・調査報告書といった証拠が「何があったか」を示し、陳述書が「どういう経緯で、どんな影響があったか」を語る――この両輪がそろうことで、あなたの主張はより立体的に伝わります。
証拠集めの段階から、その後の手続きまでを見据えて準備を進めたい場合は、まず信頼できる探偵事務所や弁護士に相談し、全体の見通しを立てておくと安心です。ひとりで抱え込まず、専門家の力を借りながら、一歩ずつ進めていきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 陳述書は自分で書いてもよいのですか?
A. 陳述書は当事者本人が自分の言葉で作成するのが基本です。ただし、法的な手続きの中で用いる書面のため、どの点をどの程度書くべきかは争点によって変わります。作成の際は、弁護士などの専門家の助言を受けながら進めることで、伝えたいことが的確に伝わる内容になりやすいとされています。
Q. 陳述書だけで不貞を証明できますか?
A. 陳述書は当事者の言葉による書面であり、それ単体で不貞行為を証明するものではありません。写真・動画・調査報告書といった客観的な証拠と組み合わせることで、経緯や心情という文脈を補い、主張の全体像を伝える役割を果たします。証拠と陳述書は、両輪でそろえて考えることが大切です。
Q. 陳述書に嘘や誇張を書くとどうなりますか?
A. 事実と異なる内容や誇張した表現は、書面全体の信頼性を損なう恐れがあります。細部の食い違いが指摘されれば、本当のことまで疑われかねません。陳述書は、あくまで自分が実際に体験・認識した事実に基づいて、落ち着いた筆致で書くことが望ましいとされています。
✏️ 佐倉 理恵 より
陳述書を書くという作業は、つらかった日々をもう一度たどり直すことでもあり、多くの方が筆の進まなさに苦しみます。でも私は、この書面には特別な意味があると感じています。写真や記録が語れない「あなたの言葉」を、はじめて正面から届けられる場だからです。うまく書こうとしなくて大丈夫。起きたことを、覚えている順に、落ち着いて綴っていく。それだけで、あなたの経てきた時間は、きちんと形になります。ひとりで抱え込まず、専門家に支えてもらいながら進めてくださいね。
